精神療法 第47巻第2号 コロナ[COVID-19]禍のメンタルヘルス
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精神療法 第47巻第2号 コロナ[COVID-19]禍のメンタルヘルス
出版社: 金剛出版
ISBN/JAN: 9784772418218
形式: 書籍
特集:コロナ[COVID-19]禍のメンタルヘルス 巻頭言 行動変容の時 松見淳子 1.COVID-19のもたらしたもの新型コロナ禍、パンデミックの心理学 妙木浩之 コロナと日本人の心ーー神話的思考をこえて 北山 修・萩本 快 2.緊急事態宣言のなかでの自粛生活 自粛生活における感染恐怖を考えるーー現代社会・リスク評価・破局をふまえた私見 原田誠一 自粛生活とひきこも 斎藤 環 コロナ禍での親密的領域における暴力ーー個的領域の尊重という視点から 宮地尚子・金井 聡 3.緊急事態宣言に対する精神療法家の対応新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が心理臨床業務に与えた影響ー緊急事態宣言直後のアンケート調査から 西見奈子・高橋靖恵・上田裕也・西岡小春・浦田晃正・星野修一 海外のロックダウン・隔離とサイコセラピー 木村宏之 遠隔心理学の可能性と限界 杉原保史オンライン面接の技術 堀川聡司 エッセイ単科精神科病院における感染症対策と組織集団 武田龍太郎 淡々と続けていくこと 池田政俊 職員のメンタルヘルスーー重役割を一時的に担う意味 秋山恵子 オンライン化による開業心理相談機関のサバイバル 信田さよ子 コロナ禍における学生相談室の対応ーー遠隔相談で行う学生支援について 飯島みどり ソポクレスの『オイディプス王』--文学からみた感染症 高橋正雄 精神療法家のメンタルヘルスーーオンライングループの試み 富樫公一 中世の災厄と無常観 本郷恵子 コロナと「地域リエゾン」 保坂 隆 オンラインでのグループ(ミーティング) 高林健示 認知行動療法の立場から 大野 裕 コロナウィルス・パンデミックによる不安・うつと森田療法ーー人と自然の関係を考える 北西憲二 母子関係へのCOVID19禍の影響 山下 洋 連載 実践SST再入門(8)SST再学習 Vol.6 舳松克代 個人心理療法再考(8)支持的心理療法について 上田勝久 動機づけ面接を始める・続ける・広げる(2)動機づけ面接を学び教えるーーMIを習得するプロセスとMIを教えること 北田雅子
本書は、学術雑誌『精神療法』の第47巻第2号として刊行された、コロナ禍という未曾有の危機におけるメンタルヘルスの変容を多角的に検証した専門的な一冊です。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックは、単なる身体的な健康被害に留まらず、人々の社会的なつながり、生活リズム、そして心理的な安全保障を根本から揺るがせました。本書の核心的なメッセージは、このパンデミックが個人の精神構造や対人関係のあり方にどのような構造的変化をもたらしたのかを、臨床的な視点から解明することにあります。構成としては、社会的孤立がもたらす不安や抑うつのメカニズム、オンライン診療や遠隔カウンセリングへの移行に伴う治療的関係の変容、さらには喪失体験(グリーフ)への介入方法など、具体的な臨床課題に基づいた論考が展開されています。単なる現象の記述に留まらず、危機下における心理療法の可能性と限界、そしてポストコロナ時代における精神療法の新たな地平を模索する、極めて学術的価値の高い内容となっています。
- パンデミックによる社会的隔離が個人のアイデンティティや自己効力感に与えた影響の分析
- オンライン・セラピー(遠隔心理療法)の導入による治療的同盟の質的変化と課題
- 感染症への恐怖や不確実性が引き起こす不安障害、およびPTSD的症状の臨床的検討
- 大切な人々や日常のルーティンを失ったことによる、複雑な悲嘆(グリーフ)へのアプローチ
- 医療従事者や心理職自身が直面した二次的トラウマとバーンアウトのメカニズム
- デジタル化が進む社会における、コミュニケーションの変容と対人関係の再構築
- 危機的状況下におけるレジリエンス(精神的回復力)の形成プロセスと介入のヒント
- パンデミック特有の心理的ストレス要因を特定し、臨床現場で適切にアセスメントする知識
- ビデオ通話などのICTを活用したカウンセリングにおける、非言語情報の補完と信頼関係構築の技術
- 社会的孤立状態にあるクライエントに対する、孤立を防ぐための具体的な介入戦略
- 喪失体験(死別、失職、役割の喪失)を扱う際の、最新のグリーフケアの理論と実践
- 精神医療従事者が自身のメンタルヘルスを維持するための、セルフケアとスーパービジョンの重要性
- 精神科医、公認心理師、臨床心理士などの臨床心理専門職
- パンデミック下における精神医学・心理学の変遷を研究する研究者・アカデミック関係者
- オンライン診療やテレヘルスへの移行を検討、あるいは実践している医療・福祉従事者
- 災害や感染症などの大規模な社会的危機における心理的支援に関心のある行政・公衆衛生担当者
金剛出版は、長年にわたり心理学、精神医学、臨床心理学の分野において、質の高い学術書や専門誌を刊行し続けている日本の老舗出版社です。特に本誌『精神療法』は、臨床家や研究者に向けて、最新の知見と実践的な事例を届ける重要なプラットフォームとしての役割を担っています。著者は特定の個人ではなく、当該分野の専門知識を持つ多くの臨床家や研究者による寄稿で構成されており、学術的な厳密さと臨床現場のリアリティが融合した内容となっています。
本書は、一般的な「コロナ禍のストレス解消法」を説く自己啓発書とは一線を画します。エビデンスに基づいた臨床的な視点を持つ専門誌であり、心理学の教科書的な知識と、現在進行形の社会問題としてのパンデミックを接続させる位置づけにあります。精神医学の標準的なテキストが「普遍的な理論」を扱うのに対し、本書は「極限状態における変容」という、極めて特殊かつ歴史的な事象を扱う、臨床の最前線を記録した資料としての性格を持っています。
本書の最大の価値は、世界的な危機が人間の精神に刻み込んだ「傷跡」と「適応」のプロセスを、極めて詳細かつ専門的な視座から記録した点にあります。読者は、単なる医学的知識を得るだけでなく、社会の構造変化が個人の内面にどのように浸透し、それが治療的介入をいかに変容させるべきかという、極めて重層的な問いに向き合うことになります。読後には、変化し続ける社会において、心理療法がいかにしてクライエントのレジリエンスを支え、新たなつながりを再構築できるかという、臨床家としての使命感と新たな視点を得ることができるでしょう。
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